これまで見てくださって本当にありがとうございます!

魔轟三鉄傑のあゆみ<番外>【魔轟三鉄傑 対 外道伯爵】

魔轟三鉄傑のあゆみ<番外>【魔轟三鉄傑 対 外道伯爵】

<ナース>

ぞば!

みんなから<ナース>と呼ばれている仲間が、
……え? なんですって?

<ナース>

ぞば! ぞばぞば! ぞばぷぅ!

ラパパ

ぷ、ぷぅ?

<ナース>

ぞば! ぞばぞば! ぞばぷぅ!

意味がわかりません。

<ナース>

ぞばばばばばばばばばぷぅー!

意味が。

黒猫のウィズ 魔轟三鉄傑

前回のあらすじ!

偶然出会って意気投合した<魔轟三鉄傑>は、世を騒がす外法の使い手を見事けちょんけちょんにしておいた!

しかしその裏には、7人の異端者からなる組織と、彼らを援助する大国の支配者たる少女、そしてその傍らに立つ謎の老人の影があった!

彼らを倒し、世界に平和を取り戻すため、<魔轟三鉄傑>は自ら戦いの道を選んだのだった!

で、倒した!

完!!!!

黒猫のウィズ 魔轟三鉄傑

追っ手は来ておらぬようだな。

はあ……。
すっかりお尋ね者になっちゃった……。

なんでこんなことになっちゃったのかしら。
あたしは名声を守りたかっただけなのに……。

それはまあ、7人の異端者組織とそれを援助する王女とそれを支える謎の老人を、まとめてドカンとやっつけたせいでしょうねー。

ああ、うん……そうよねー。
まさかねー。
月1で集まって飲んでるとかねー。
マジ思わなかったよねー。

しかも、どんちゃん騒ぎで泥酔しておったからな。
あれほど楽な戦いはなかった……。

でも、そのせいで賞金首よ、賞金首。
ああ……あたしの輝かしい名声はどこへ……。

失ったものは、また取り戻せばいいんですよ。
人は、そうやって成長していくんですから……。

あんたが言っても説得力ないんだけど。

失敬な。
わたくしだって、今回の戦いで、いろんなものを失いましたよ。

たとえば何よ。

おなか減りました!

あーあーそーねあたしもとっくにハラペコよ!

む。おぬしら、前を見よ。
何やら集落があるぞ。

えっ?
……あ、ほんとだ!
やったー! 村だわ! 村村!!
イエーイ!

解せぬな……
この近くに村などなかったはずだが……。

ええ。
あれは地図に載らない村ですから。

え?
ガトリン、あの村、知ってるの?

はい!
あそこは……。

わたくしの故郷!
ガトリンパークです!!

黒猫のウィズ 魔轟三鉄傑

村の子供A

わーいわーい!

村の子供B

ここまでおいでー!

村の子供C~E

ぞばぞばぞばぞばー!

………………………………。

ガトリンパークです。

待って。

ぞば?

待って。
いろいろ待って。
つーかもう何がなんだかなんだけど!
何!? ここ何!? 何系の魔境!?

ガトリンパークですよ?

あそこにいるのは!?

村の子供たちに決まっているじゃないですか。

あっそ!!!

いろいろ理解を超えすぎておるが……。
ひとまず、どこかで食事ができぬものかな、ガトリン。

でしたら、ウチにご招待しましょう!
ほら、こっちですよ、ほらほらー!

ガトリンの家……。

心の準備だけはしておくか……。

黒猫のウィズ 魔轟三鉄傑

ガトリンダディ

ガトリンのダディです。

ガトリンマミー

マミーでヤンス。

いやあのマジで意味が……ヤンス!!?

お久しゅうございますわ、ダディ&マミー。

ますわ!!?

ガトリンダディ

ガト子や。
うぬは世に慈悲の心を広めんがため、強制治療の旅に出ていたはずであったが。

ガトリンマミー

どうして戻ってきたでヤンス?
答えによっては釜茹でヤンス。

ちょっとおなかが減りまして。

ガトリンダディ

オッケー。

ガトリンマミー

オッケー。

………………。

耐えよ、リエン。
いつか「いい修行になった」と思える日も来よう。

無ー理ー。マージー無ー理ー。

黒猫のウィズ 魔轟三鉄傑

ガトリンダディとガトリンマミーが出してくれた料理を食べて、リエンたちはようやっと、一息つくことができたのだった。

とにかく、名声を取り戻さないと、流派の名に傷がついちゃう……。

あーあ。
手っ取り早く倒して名を上げられるような手頃な悪者、どっかにいないかなー。

今の我々はまさにそれだと思うのだが。

ガトリンダディ

そういうことなら、渡りにカヌー。

ガトリンマミー

実は、最近リンゴを買い占めして値段を高騰させている、とんでもない悪党がいるでヤンス。

はあ……何者なの?それ。

ガトリンダディ

その名も……。

ガトリンダディ

外道伯爵デスタイガー!!!

ガトリンマミー

外道伯爵デスタイガー!!!

黒猫のウィズ 魔轟三鉄傑

夜。
雲の衣をまとった朧な月が、質実剛健な気風を残す古城を照らしている。

外道伯爵デスタイガーの牙城、アウターロード城である。

リエンたちは、その周囲の草むらに隠れ、こそこそ移動していた。

こそ……こそこそ……こそこそこそ……。

見張りの兵が巡回しておるようだな。
なんとか、やり過ごして城のなかに潜入したいところだが……。

そして、外道伯爵デスタイガーを倒せば、万事解決ですね!

うーん……そんないかにもアレな名前の奴やっつけて、ホントに名声上がるかなぁ……。

兵士

!?
誰かそこにいるのか!?

3人は、あわててしゃがみこんだ。

巡回兵が、近くまで歩み寄ってくる。

兵士

今、話し声が聞こえた気がしたが……。

ぞばにゃ~ご。

兵士

なんだ、猫か。

なわけあるかー!

兵士

曲者ぉー!!

リエンさぁーん!!

だってぇー!!

強ぉー行ぉー突破じゃあー!!

見張りの兵たちを薙ぎ倒し、リエンたちは城の内部を突き進む。

あれ?
最初からこうすればよかったんじゃない?
なんでこそこそしてたんだっけ?

世の中、どんな手練れがいるやらわからぬからな。
戦わずに済むに越したことはあるまい。

豪奢な城内を駆け抜け、2階に到達する。

???

ほう。
我が城がいつになく騒がしいと思えば、今宵は来客の予定があったかな。

あんたが……外道伯爵デスタイガー!?

いかにも!

ネコ科ですらない!!!

吾輩こそ外道伯爵デスタイガー。
質問があればなんでも聞こう。

はーい!
どうしてイヌなのにタイガーなんですか?

心に虎を飼っているからサ……。

どぉーーでもーーいぃーーわァーー。

おぬしがリンゴを買い占め、値段を高騰させている張本人だと聞いたが、まことであるか?

い☆か☆に☆も!

(ウゼえ)

どうしてそんなことするんです!
人の迷惑も考えてくださいよ!
ぷんすか!

……………………………………。

……………………………………。

ぞば?

まあ、それはそれとして、実際なぜだ!

今年、人体に害なす疫病がリンゴに広まってな。
亜人ゆえ問題なく食える吾輩が買い占めたのだ。
リンゴが売れぬと泣く農家を救うためにな。

…………。
あれっ。

え。あの、これ……
ぜんぜん悪い奴じゃないんじゃ……。

他に質問は?

なんか悪いことしてます?

人とか売ってる。

アウトぉーーーーっ!!

アウトぉーーーーっ!!

アウトぉーーーーっ!!

イマジネイティブ☆ロックオン!
ガトリンチャンバー、ヘルファイアー!!
ぞばばばばばばばー!

タイガーダッシュ!

ガトリンが巨大な注射器から放つ怒涛の液体を、外道伯爵デスタイガーは、残像が見えるほどの速度でかわしていく。

ぞばっ!?

ふ、見たか、我がリンゴコントロール。
パーペキであろう。

むう、足元のリンゴを巧みに転がすことで、予備動作不用の超高速移動を実現したか!

ホントかなぁソレ……。
ていうかガトリン、あんたのその技、なんか追尾とかできるんじゃなかった?

それがですね~。
ヒットするデスティニーが見えないっていうか、イマジネイションがアライズしないっていうか?

トラトラトラ……。
我が魔力の具現化による効果が聞いておるわ。

なんだと!?
いったいなにをしたというのだ!

決まっておる。
“当たりたくない一心”を具現化したのよ!

それつまり、実はめっちゃ怖がってるってこと……?

トラトラトラ!
当然、内心ドッキドキよ!

しかし、厄介な能力よな。

攻撃が当たらぬのでは、どうしようもない。

でもあいつ、避けてるだけで何もしてこないよね。
ひょっとして、これ千日手なんじゃない?

うむ。
実は今、ひとつ手を打っておる。
……ガトリン、そろそろよいぞ。

ラジャぞば!

ガトリンが連射を止めた。

放たれた液体は、やはりまるで当たっておらず、床をびしょびしょにしたのみだ。

トラトラトラ……ようやく諦めてくれたか。
城の床がすっかりズブ濡れゆえ、そろそろやめてもらいたいと思っていたところだ!

ところでなんか寒くない?

ん?
そういや、そうね。

いつの間にか、室温がひんやり下がっている。

リエンが首をかしげていると、その二の腕を、ガトリンがちょいちょいとつついた。

リエンさん、リエンさん。
ちょっとね、この濡れた床をね、こうね、ぺしっとね、叩いてやってくださいよ。

え、なんで?

いいから、いいから~。

しょーがないわねー。えいっ。

リエンは、濡れた床に力強く足を踏み下ろし、見事な震脚を決めた。

すると--床の液体が、一瞬にして、ビキビキと凍り始めたではないか!

は!?
何コレ!?

我が魔術で、地味に冷やしておいたのだ。
そういうやり方をすると水は凍らぬ。
だが、衝撃を加えると、瞬時に凍る。

あ、なんかそれ聞いたことある~……って、
こんな雑なやり方でできるヤツだっけ……?

ぬ、ぬおおぉう!
滑る!
リンゴがよく滑る!
こんな滑ったらーーはうっ!

デスタイガーは、つるつるの床ですっ転び、頭を打って気絶した。

ふっ……“当たりたくない一心”を持とうとも、自分から当たりに行っては、二階から目薬、ナースの川流れというもの……。

なんかいろいろ違わんか。

のれんにダメ出し?

それもどうかな……。

ていうか、ちょっと!
あたしの脚まで凍ってるんだけど!
ちょっと! ちょっとこらぁー!!

マジサーセンした。
リンゴ買い占めた理由もウソっす。
単にリンゴいっぱいほしくてやっただけっす。

こんにゃろう。

やはり、ただの悪党であったか。

自分で外道伯爵って名乗ってましたしねー。
そもそもねー。

で、買い占めたリンゴはどこにあんの?

でえ、こっちでヤンス。

(流行ってんの……?)

外道伯爵デスタイガーの案内で、一同は城の宝物庫に移動した。

デスタイガーが厳重に閉ざされた扉を開くと--

空っぽの空間が、目の前に広がっていた。

って、ないじゃん!

ええっ!?
そ、そんなはずは……。

おややや?
なんか書置きがありますよ?
どれどれ~?

「このおいしそうなリンゴは我々がいただく。
これも仙ロードの導きと知るがいい!」

--By <地獄三十六歌仙>

誰だ!!

外道伯爵デスタイガーを倒し、<魔轟三鉄傑>は、世にリンゴを取り戻したかに思えた。

ところがどっこい、そうは問題がライジング。
買い占められたリンゴは、新たなる敵、<地獄三十六歌仙>に奪われていた!

誰だ、<地獄三十六歌仙>!
多いぞ、<地獄三十六歌仙>!!
勝てるか、<地獄三十六歌仙>!?

次回「<魔轟三鉄傑> 対 <地獄三十六歌仙>!
登場! 仙ロードを極めし暗黒超仙人」に、
イマジネイティブ☆ロックオン!

絶 対 ない。

人気ブログランキングに参加しています!よろしければクリックお願いします★

魔法使いと黒猫のウィズランキング

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です